なんとなくサンネット日記

2011年1月5日

驚き

Filed under: つぶやき — toshio @ 12:09 PM
初めてのドライブ

浜名湖1961

明けましておめでとうございます。賀状やお会いしたいく人かの方から「時々ブログを見ていますよ」と声をかけていただきました。うれしいものです。これからもよろしくおつきあい下さい。

左の写真はぼくが初めて経験したドライブの記念写真です。左から、私、仲清隆くん、根地嶋孝夫くん。堤防に座っている女性二人、奥の人は仲くんのお母さん。写真を写しているのは、運転してくれた男性。

ぼくは、岩手から引っ越して、静岡県清水市で小学校に入学。慣れない土地でした。

小学校2年生の2学期に、東京から転校してきた仲くんと同じクラスに。お互い友だちの少ないどうし、たちまち仲良しになりました。友だちができた喜びをいまでもありありと思い出します。彼は運動ができて、明るくて、屈託のない性格。うらやましいことに、ぼくの家よりはるかにお金持ちでしたが、それを鼻にかけることはありませんでした。

根地嶋くんは小学校3年の時、同級生になりました。アイウエオ順の出席簿では、ぼくのひとつ前が根地嶋くん。それで仲良くなりました。おとなしくて、人の話をよく聞くタイプです。彼の家は川のそばの二階建てで、夏になると庭に大きな花が咲き、大きな蜂が舞っていたことをなぜか思い出します。

写真のぼくたちは小学校3年生か4年生。仲くんのお母さんが自動車の運転を習っていて、そこで知り合った教習場の先生のおかげで、このドライブが実現しました。

清水から名古屋まで行き、名古屋城と東山動物園を見物。仲良し3人組にとっては、城のなかのエレベーターを見ても、金の鯱鉾(しゃちほこ)を見ても、楽しいことばかり。ぼくにとってそれはそれは特別な日でした。

帰ってくる頃には夜になり、たくさんの星が見えるようになりました。当時の道路はたいへん暗かったのです、国道1号線でも。

車の前に座っている大人たちは疲れたのでしょう、無口になっていましたが、子どもたち3人組はまだまだ元気。あれこれ話をして、はしゃいでいました。
…宇宙はどれくらい広いのだろう。1000光年って、光が1000年かけて進む距離だよ!すごいと思わない。星はいくつあるのだろう。何億、何兆。兆の上は何? 宇宙の外には何があるんだろう。その外に宇宙があったとしてもその外には何があるんだろう? いったい、無限って、どんなこと…。

座席に頭を押し付けて、逆さに、車の後ろの窓を見ると、そこには降り注ぐような星々。車は暗い国道を走ります。おしゃべりにちょっとした隙間が生まれ、車のシートにうもれると、無限ということばの底から、ふと、不思議な感覚がわきあがってきます。切ないような、ジンとくるような、何とも言えない感覚。でも、一人で、胸のなかにそれをしまいました。
あとになってわかるのですが、それは無限という“考え”を発見した“驚き”でした。

あれから50年、「無限」は街角に捨てられて、風に舞うゴミほどに当たり前なものになり下がりました。「無限の可能性」「無限の力」などとよくいわれます。驚きとは無関係な、陳腐なものの一つです。残念なことです。

科学・消費経済が飛躍的に肥大化したこの50年、自然やコミュニティーが失われましたが、驚きも失ったもののひとつかもしれません。驚きを失い、当たり前になった「無限」こそ、私たちを孤独にさせ、感情を凍らせている元凶ではないでしょうか。

マシンや電光掲示板を見つめる。ネットに依存し、愛着を寄せる。情報を奪い、加工し、表示し、あるいは秘匿する。AはBであり、Bの別パターンはCで、Dという変形もあるが、Eに発展し、Fにはならず…。ディスプレイの向こうに無限の空間があると信じる人々の群れ。人々は無限というセルで仕切られ、隔てられているので肩を寄せ合うことはできない…。有限の世界のなかで「私」という存在が結びつくから、私たちは世界にふれることができ、肌で感じることができるのに…。

人として大切な“もやい綱”をほどき、無限の空間の海にただよいはじめました。ふれることも、聞くこともできないさみしい空間が、人間世界のそこここに広がっています。ミヒャエル・エンデの「虚無」の世界のようです…。

だからこそ、私たちは、有限であることを取り戻さなければなりません。有限であることによって、驚きも取り戻せるはず。

日常の小さなできごとに驚きあう関係。小さな物の中に感じる無限。無限に響きあえるこころ。無限は私たちのこころのなかにそっとあるもの。私たちを囲ったり、外側に出てくる“モノ”ではない。幾度も、ひとり確認するでしょう。

花壇に咲く花、鳥や虫たち、雨や雪や雲、語り合う笑い声、静かでかすかな祈り。驚き、胸が鳴る。このようなことが大切にできる1年でありたいものです。どうぞ、今年もよろしくお願いします。

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