なんとなくサンネット日記

2010年1月27日

第三の道

Filed under: つぶやき — 投稿者 @ 1:06 PM
今日の津軽海峡冬景色

今日の津軽海峡冬景色

 DPI日本会議副議長の楠敏雄氏が、「試されているのは我々の政策力・企画力」と題し、障がい者制度の「契約制度」について、基本的な疑問を投げかけた。
 氏は、契約制度は市場原理主義と同根であり、利用者負担の原理的な根拠になっていることを批判している。短い文章であり、論拠を十分展開したとはいえない。

 しかし、政権が交替し、政府において「障がい者制度改革」がスタートした今、しかも改革の道筋に大きな影響力があると見られるDPI日本会議の副議長の発言であり、注目しなければならない。
 措置制度でも契約制度でもない、第三の仕組みを氏は望む。この氏の指向に、私も深く共鳴する。しかし、第三の道がどのような道か不明瞭であるという。

 措置制度は、国に福祉の責務があるとしたはずなのに、悪用されれば、利用者の人としての権利を奪っていた。契約は、利用者個人の権利を保障したはずなのに、悪用されれば、「傲慢な消費者」を生み出した。

 措置制度も契約制度も、どちらも共通している面がある。それは基本的に「連帯」「協働」を必要としていないことだ。つまり、コミュニティを軽んじたシステムである。第三の仕組みがあるとすれば、それはコミュニティを重視する道になるのではないか、そう私は思うし、そこに注目している。

【以下楠氏の要旨】
 「(2009年10月30日の集会で、長妻厚生労働大臣が、障害者自立支援法の廃止の方針を言明したことによって)多くの障がい者団体が批判してきた『応益負担』がようやく見直されるようになった」
 (1990年代後半の福祉の基礎構造改革、2000年の介護保険法の成立にみられるように)「『措置から契約に』への制度移行によって、利用者負担の原理に根拠を与えることになり、私自身も含めほとんどの障がい者団体がそうした当然の帰結を見抜けず、見過ごしてきたことは否めない」
 (2003年の支援費制度)で強調された『個々の障がい者のニーズに応じたサービス提供』といううたい文句に、私も多くの仲間たちも多大な幻想を抱いたことは確かだった。…いまから思うと、あの支援費制度が実は『大きな甘い罠』だったように思えてならない」
 「この間の『契約制度』を基礎とした一連の政策が、市場原理主義と全く無縁な方向だ――とも、どうしても思えないのである」
 「民主党政権は『障害者自立支援法』にかわって、どのような法制度やサービスを作り出そうとしているのか。4年をかけて支援法の廃止や差別禁止法の制定、さらには『障がい者総合福祉法』の制定を目指すとされているが、それは旧来の法体系とどのように違うのか。あるいは『措置』でもない『契約』でもない第三の仕組みは、どのような理念とシステムを基本として作り上げていくのか、その根本問題に関する論及は、今なお非常に不十分なように思える。」
 「戦後60年近く続けられてきた官僚主導の『措置制度』を支持するものではないが、だからといって市場原理に道を開く『契約方式』を無条件に推進する立場にも立てない」
 「問題は、我々自らが、障がい者施策や福祉政策のあり方についてどんな内容を提起し、いかなる効果的な行動をとりうるのか、である。政府や政党に何を求めるかでなのではなく、我々自らが企画力と政策力をつけていくのかが試されているのだ」(人民新聞2010年1月15日号)

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