なんとなくサンネット日記

2013年7月3日

助けてもらう

Filed under: つぶやき — toshio @ 12:11 PM
雨上がりのラベンダー

今年も咲きました

村上春樹の『ノルウェーの森』をまた読んでいるわ。

ぼくも、ずいぶん前に読んだけど、あまり感動はなかったと思うよ。なんか味気なかったという記憶くらいかな。

京都の山奥にある、精神科の療養所が出てくるのよ。それが治療共同体的なのよね。ぜんぜん覚えていなかったわ。

うーん。精神科の病院…かすかにおぼえているような…。

阿美寮という、その療養所のルールがおもしろいの。ちょっと、読んでいい?

いいよ。

療養所で7年過ごしているレイコさんと会う場面よ。20歳の僕は、療養所に入った直子をたずねていく。レイコさんが僕に療養所のことを説明してくれるの。

 

昔は建物もあそこしかなくて、あそこに患者をあつめてグループ療養してたの。つまりどうしてそういうこと始めたかというとね、その人の息子さんがやはり精神病の傾向があって、ある専門家がその人にグループ療養を勧めたわけ。人里はなれたところでみんなで助け合いながら肉体労働をして暮らし、そこに医者が加わってアドバイスし、状況をチェックすることによってある種の病いを治癒することが可能だというのがその医者の理論だったの…

…もちろん万病に効くってわけでもないし、よくならない人も沢山いるわよ。でも、他では駄目だった人がずいぶんよくなって回復して出て行ったのよ。ここのいちばん良いところはね、みんなが助け合うことなの。みんなが不完全だということを知っているから、お互いを助け合おうとするの…

…だからここでは私たちはみんな平等なの。患者もスタッフも、そしてあなたもよ。あなただってここにいる間は私達の一員なんだから、私はあなたを助けるし、あなたも私を助けるのよ…あなたは直子を助けるし、直子はあなたを助けるの

「僕はどうすればいいんですか、具体的に?」

「まず第一に相手を助けたいと思うこと。そして自分も誰かに助けてもらわなくてはならないのだと思うこと。第二に正直になること。嘘をついたり、物事をとり繕ったり、都合の悪いことを胡麻化したりしないこと。それだけでいいのよ」

「努力します」僕は言った。

 

1980年代に治療共同体について、村上春樹がこんなふうによく考えられたもんだな…。助け合うという関係を信じること、そして自分を信じること、そしてそういう世界をつくることができると信じること…かな。

そうね。そしてそれをしっかり決断するということかしら。

そのどれかが欠けても、残念な、ときには残酷な結果になるかもしれないね。

でも、世界は、人類は、いろいろなスタイルでずっとそれを夢見てきたのかもしれないと思うのよ。(了)

コメントはまだありません

No comments yet.

RSS feed for comments on this post.

Sorry, the comment form is closed at this time.

Powered by WordPress